BLOGTachibana の日記

2023.1.28

紙漉きは水が命。

1年で一番寒い、水の冷たい今頃が、紙漉きにとって最も良い時期。ネリが良く効き、また良いコンディションが持続しやすいのです。

「昔は寒の水を汲んで甕に取っておき、春彼岸の頃にその水で紙漉きをしたと、じいさんが言っていた」

父からそのような話を聞いたことがあります。ほんとかなあ、と思ってしまいますが、おそらく水道設備の無い頃、何にしても水を汲んできて使う、という時代の話なのでしょう。

寒の水がいいのは、水温が低いからというよりは雑菌が少ないため傷みにくい、ということのようです。

紙漉きの時、最初は手が冷たいですが、体は動かすのでそのうちに温まり、手からは湯気が上がります。

トロの効きがよく、思ったように水が動いてくれるこの時期が近づくとワクワクします。もちろん寒いですが、寒いや冷たいよりも「今年はいい紙が漉けるかな」の方が勝ります。

まあ、本当の意味で紙漉きの寒さ冷たさを楽しめるようになるには10年以上かかりましたが…。

 

凍結防止策を講じながら、今シーズンも水と親しんでいます。

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