BLOGTachibana の日記

色のはなし

2021.12.12

この秋、相当な暫く振りで藍染をしました。

といっても合成藍、化学建てです。

 

よく聞かれる質問に「色は何で付けていますか?」というのがあります。

天然染料、という答えを期待されているんだろうなと思いつつ、答えは「化学染料です」。

和紙の染めに於いても、先染めと後染めの両方が考えられます。漉く前の紙料の段階で染める先染めと、紙に漉いてから染める後染め。

草木染めであれば、後染めが向いていると私は考えています。それは、媒染剤が“紙漉き”に影響するから。媒染剤によっては、ネリ(トロロアオイ)の作用に影響してしまうのです。

また、草木染めは何回も繰り返し染めて色を濃く、深くしていきます。そのことで堅牢度も上がるのでしょう。

色のことを中心に考えると、何回も染めを重ねることになります。製紙の途中段階でそれをすることにより、結果としてどうしても弱い紙になってしまいます。

紙漉き屋に出来ること、紙漉き屋ならではの技術を考えた時、やはり先染めがいいかと。そして、1回染めでしっかり色が付き、極力繊維を傷めないように…。そのことが紙の品質保持につながると考え、化学染料を使っています。

 

藍染の場合は少々理由が違います。

天然の藍染めとなると、藍瓶の管理にはより専門的な知識、技術が必要となることでしょう。とても和紙作りの片手間で出来る事ではない、と思っています。

化学建ての場合でも、染める手順は同じ。染液に浸けて引き上げると緑色。これを空気中で酸化させると藍色に発色します。2回繰り返して濃い色に、1回染めはやや薄い色に…

この様に繰り返し絞ったりする為、繊維の塊が出来たりしてしまいますが、手仕事の痕跡を残すという意味では、また別の価値ある事なのかも知れません。

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