BLOGTachibana の日記

夏の仕事

2023.8.31

紙漉きといえば冬の季語、というくらい、寒い時期の仕事です。

私の工房では、7月から9月上旬までをシーズンオフとしています。では夏は何をしているかというと…

私の場合、畑仕事を少しと、休暇と、あとは加工品づくりをしています。

和紙を切ったり折ったり貼ったりして、封筒、ブックカバー、栞などを作ります。

昨年から作り始めたのが巻紙。

以前は父もたまに作っていましたが、その時は切ったものを何枚か重ねて巻いただけのものでした。

昨年新製品として作り始めたものは、ちゃんと糊で貼って繋ぎ合わせ、長い1枚にしたもの。これでこそ巻紙ですね。

巻紙といえば書簡、便箋に使うことをまずイメージしますが、便箋としてというよりは、この巻いてある形状、切りながら使うという利点に着目しました。

使いたい分だけ切って使うので無駄が無い。

こういう日本の文化を大切にしたいものです。

発売からかれこれ1年になりますが、共感してくださる方も多く、加工が追いついていませんでした。

長年紙漉きに携わり、寒いのにはめっぽう強いけれど暑さにはすっかり弱くなってしまった私。梅雨明けごろには「夏が来てしまったなあ」と思うのですが、加工に時間が割けるのもこの時期ならでは。今年も酷暑の日々が続いていますが、時間帯を考えるなど、どうにかやりくりしています。

巻紙は、糊付けする部分はほんのわずかなのですが、長い物なので、長く広げられる所で作業しなければなりません。そのためどうしても冷房の無い場所での作業となり、紙に汗が落ちてしまいます。そこで、早朝にやってみることに。

朝は爽やかで静かで(山の中なので元々静かではありますが)集中できて、夕方よりも見やすいですし、とても作業が捗ります。

昼前には作業を終わりにし、日中の最も暑い時間帯は休む。

せっかく山の中にいるのですから朝晩の涼しい時間を活用したいものです。

 

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